腰痛(椎間板ヘルニア・ぎっくり腰(筋筋膜性腰痛))

以下のような症状に心当たりはありませんか?

以下のような症状に心当たりはありませんか?
  • 背骨が横に曲がっている
  • 身体が動かしにくい
  • 重いものを持ちあげると腰に強い痛みが走る
  • 腰が痛くて目が覚める、腰が痛くて眠れない
  • 同じ姿勢で長時間作業することが多い(座りっぱなし・立ちっぱなし)
  • 立ったり歩いたりするとお尻や太ももの部分、膝下が痛くなる
  • 休むと痛みや痺れなどが落ち着くが、また歩き出すと痛みや痺れが起きる
  • スポーツや肉体労働など、日ごろから身体を動かす機会が多い
  • 成長期または高齢である
  • 転倒後や椅子に座った時など、痛みが起きた状況がはっきりしている。

代表的な疾患

腰痛の原因や疾患によって、治療法や注意点が変わります。ぜひ確認して、心当たりがありましたら受診してください。

圧迫骨折

骨粗鬆症の方が転倒した時、重たいものを持ち上げた時に発生する事が多いです。しかし骨粗鬆症の患者さん(高齢の方)の場合、無自覚なまま圧迫骨折を起こすこともあります。無自覚なまま進行し、症状が悪化すると寝たきり・要介護状態になります。早期発見・早期治療が重要です。

治療法

コルセットやギプス固定を行い、安静にする保存療法が第一選択です。ただし、高齢の方の場合は安静にし過ぎても体力が低下するので、寝たきり状態を防ぐため、ある程度身体を動かすことも重要です。痛みのコントロールと安静度の加減が必要になります。もし、手術が必要な場合は、脊椎専門医のいる提携病院に御紹介いたします。

筋・筋膜性腰痛症

どの年代でも発症するリスクがあります。腰の筋膜・筋肉を損傷する腰痛です。一般的には「ぎっくり腰」とも言われる事が多いです。主に、急な動作、無理な姿勢での作業、スポーツのオーバーユースで発症します。
レントゲンで異常が見られず、しびれや麻痺などがない場合は筋・筋膜性腰痛の可能性があります。MRI等を行っても明らかな異常を認めないことも多くあります。

治療法

治療としては、保存療法がよく行われます。当院では、薬物療法と理学療法を並行して行います。また、症状によってはコルセットの処方など装具療法も行われます。鎮痛剤や筋肉の緊張を和らげる薬の服用、外用薬(湿布・塗り薬)を用いて治療いたします。症状に応じてトリガーポイント注射、長期化するケースでは超音波検査で筋肉の拘縮・重積を認めることもあり、筋膜リリース注射も行います。

腰椎椎間板ヘルニア

椎体と椎体の間にある椎間板という組織が逸脱する病気で20~50歳の男性に多く、症状はおもに、腰やお尻の痛みや、下半身のしびれ・痛み、足の脱力感(力が入らない)などが挙げられます。痛みが進行すると、重い物を持つときや動く時の痛みが強くなります。
逸脱の場所と形態によって、痛みの部位が異なるため、入念な診察が重要です。神経症状、徒手筋力検査、深部腱反射テスト(DTR)、下肢伸展挙上テストなどを行い、総合的に診断します。椎間板はレントゲンには写らないため、確定診断にはMRI
が必要になることもあります。MRIは近隣の提携施設をご紹介しておりますが、空き状況次第では当日検査も可能です。

治療

内服薬、外用薬(湿布、塗り薬)、トリガーポイント注射、ブロック注射、鎮痛剤の点滴、などで症状を落ち着かせます。
近年では神経痛などに効果の高い薬も開発されているので、投薬治療のみで痛みが解消されるケースも多くなってきています。当院でも、消炎鎮痛薬、神経性疼痛治療薬などを痛みの強さと時期に合わせて調整し、痛みのコントロールを行っていきます。
痛みが強い時期には、安静にすることが大切です。また、日常生活における動作指導や装具療法を行い、痛みが落ち着きましたら、運動療法などを実施します。
痛みで全く動けない、足に力が入らないなど症状が強い場合は、提携医療機関への紹介も行っておりますので、お早めに受診ください。
手術適応の場合は、提携する医療機関と協力して必要に応じた治療を行っていきます。
最近は内視鏡を用いた低侵襲手術による治療もございます。

腰部脊柱管狭窄症

60歳以上の男性や腰椎すべり症のある人が発症する傾向にあります。歩行すると痛みが発生するが、休息したり、体を曲げたり、しゃがんだりと姿勢変えると痛みが速やかに落ち着く症状がよく見られます。この歩行と休息を繰り返す「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」が代表的な症状です。
原因としては、様々な要素があり、加齢などで変形した椎間板や靭帯、背骨・椎間関節から突出した骨(骨棘)が、神経を圧迫することで発症します。症状も多彩で、腰痛、足のしびれ、足の痛み、足の違和感、間欠性跛行、ふらつきなど、腰痛の症状はあまり強くない事もあり、安静時に痛みがない方もいます。また夜に足がつるなどの症状を訴えることもあります。進行すると、足の筋力低下、肛門周囲の感覚の低下やほてり、尿もれなどが起きます。
また、腰部脊柱管狭窄症の発症原因には様々な要素が絡んでおり、中には先天的な要素や外傷が原因で起きる事例も報告されています。
間欠性跛行を起こす病気で閉塞性動脈硬化症(ASO)もあり、鑑別が必要です。

治療法

鎮痛剤・プロスタグランジンE1製剤(神経の血行を良くする薬)の服用、外用薬(湿布、塗り薬)、鎮痛剤の点滴、トリガーポイント注射、仙骨ブロック、硬膜外ブロック、交感神経ブロックなどを行います。
足のつりには漢方薬を処方いたします。
日常生活における動作指導も行います。コルセットなど装具治療が有効な場合もあります。


手術療法

歩行障害が進行している場合や感覚障害が強い場合などは、手術(除圧術または固定術)を行います。脊椎領域の手術の進歩は目覚ましく、手術の際には脊椎専門医への受診をお勧めします。当院では、提携する医療機関と協力して必要に応じた治療を行っていきます。すぐに手術ではなく、精密検査と治療を行う病院のご紹介も可能です。

ぎっくり腰

重たいものを持ち上げたり腰を突然ひねったりすることで発症します。突然ピキっとした痛みが現れるので、海外では「魔女の一撃」とも言われています。圧迫骨折やヘルニアが原因で起きる場合もありますが、そう多くはありません。大きな異常が見られないときは長時間安静を行わず、ほどほどに身体を動かすこと(動かせる範囲で)も大事です。コルセットや、鎮痛剤・外用薬の処方、トリガーポイント注射などを行います。また、リハビリテーションを行うこともあります。通常は1週間以内に症状は軽快しますが、長期化する場合は、MRI等精密検査をお勧めする事もございます。

脊椎分離症

疲労骨折などが原因で、椎骨が椎弓の関節突起間部で分離したものを「脊椎分離症」といいます。さらに分離した椎体が前方へ転位し、ずれているように見える状態を「脊椎すべり症」といいます。骨がまだ成長過程の間である青少年によく見られ、原因はスポーツ時のオーバーユースが多いです。進行具合により治療方針が異なるため、MRIやCTの検査も行います。

治療法

保存療法と手術療法がありますが痛みがひどくない限り、手術ではなく保存的治療を優先して行います。
急性期にはコルセットや体幹ギプスなどによる装具療法や運動の制限を行います。慢性期では薬物療法・ブロック注射などの対症療法で痛みを緩和させます。
理学療法は脊椎に負担のかからない動作や姿勢、体幹筋トレーニングの指導です。
通常は保存的治療で軽快いたしますが、保存的治療で改善が見られず、今後もスポーツ活動を希望される場合は手術治療も適応となります。
分離部修復術、椎体間固定術、除圧術などを行います。スポーツができるまでには3~6ヶ月かかります。

腰椎すべり症

加齢に伴い起こることが多く、青年期の分離すべり症とは区別されます。
50代以上の女性に起こりやすく、好発部位は第4腰椎です。
すべり症自体は症状を出さないことも多いですが、進行すると、不安定性が強くなり、姿勢を変えたり、中腰での作業で痛みが出ます。また、椎間板の変性や脊柱管の狭窄を伴う場合、前述した腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の症状が出ることもあります。

治療法

鎮痛剤、筋弛緩薬、外用薬(湿布、塗り薬)、トリガーポイント注射、仙骨ブロック、硬膜外ブロック、交感神経ブロックなどを行います。
日常生活における動作指導も行います。コルセットなど装具治療が有効な場合もあります。

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